中小企業診断士 1次試験の科目免除はすべきか否か

中小企業診断士 1次試験の科目免除はすべきか否か 1次試験
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【2024年3月17日更新】

中小企業診断士1次試験の科目免除をすれば勉強時間を捻出できるけど、平均点が下がっちゃうかもしれないな・・・。

中小企業診断士1次試験は7科目ありますが、一定の条件を満たしていれば科目免除をすることが可能です。ただし合格条件の関係から科目免除するか否か悩む方が多いと思います。

結論から先に述べますが、「答えはない!」です。

ただ、それでは何の解決にもなりませんので、本記事では中小企業診断士1次試験を免除すべきか否かの判断ポイントを3つほどご紹介していきたいと思います。

それでは、どうぞ!

中小企業診断士1次試験の科目免除・合格条件

中小企業診断士1次試験科目の免除条件

中小企業診断士1次試験の免除条件は大きく2つです。

1つ目は「科目合格による免除」です。これは診断士試験初挑戦の方には無縁ですが、60点以上を獲得できた科目はたとえ1次試験に落ちてしまっても翌年、翌々年まで免除可能になる制度です。

2つ目は「他資格等保有による免除」です。公認会計士や税理士であれば「財務・会計」を、弁護士であれば「経営法務」を免除できるといった制度です。

詳細については中小企業診断士1次試験の試験案内(令和5年度案内)より確認いただきたいのですが、これにより初挑戦の方でも「経済学・経済政策」「財務・会計」「経営法務」「経営情報システム」の4科目は免除可能です。

ちなみに中小企業診断士1次試験全体の免除は翌年まで、つまり2次試験のチャレンジは2回まで(3回目は1次試験からやり直し)なのでご注意ください。

中小企業診断士1次試験の合格条件

これは今更ですが、念のため確認しておきましょう。

受けた科目の平均点が60点以上 かつ 1科目でも40点未満がない

2つの条件クリアで晴れて合格ですね。受けた科目という条件が以下の悩みの原因につながります・・・。

1次試験科目免除に対する悩みの原因

中小企業診断士1次試験の受験者、特に2回目以降の再挑戦の方が悩むのは合格条件に「受けた科目の平均点が60点以上」があるためだと思います。

そして中小企業診断士1次試験の科目免除制度の中にある下記の条件もいやらしいですよね。

Q:昨年度に科目合格した科目を本年度の試験で受験することはできますか?
A:本年度の受験申し込みの際に免除申請しなければ、受験することができます。
  免除申請をしていない場合、免除の取り扱いにはなりませんので、ご注意下さい。

令和5年度1次試験案内より引用

この条件のせいで「免除すると不得意科目だけ残って平均点60点が厳しいかもしれない」、「でも平均点を上げるために再度挑んだ科目が今年は爆死したら・・・」みたいなジレンマが生まれるわけです。

冒頭でも述べましたが、免除するか否かに正解はありません。ただ検討すべきポイントはありますので、それらについてご説明していきます。

科目免除の判断ポイント1:過去の推移から検討

中小企業診断士1次試験科目免除の判断ポイント1:過去の推移から検討

まず科目免除1つ目の判断ポイントが、「過去の科目合格率の推移を分析」する方法です。

下表は過去10年分の1次試験の合格率と科目合格率の推移をまとめたものです。

中小企業診断士1次試験の合格率推移

データは中小企業診断協会が提供している中小企業診断士1次試験の統計情報を集計しています。
>>中小企業診断協会 過去の試験結果・統計資料

ちなみにこの科目合格率には中小企業診断士1次試験合格者は含まれません。たとえ科目合格率が数パーセントしかない年でも、実態としてはもっと60点以上を獲得できている方はいらっしゃるということです。

ただ科目毎の難易度や傾向を見るためには非常に有用ですので、この数値を少し分析してみます。

以下に代表的な数値をまとめてみました。

中小企業診断士1次試験の合格率分析結果

以上の情報から各科目の特徴を考えてみました。

【経済学・経済政策】
平均値は高いものの2.1%激甚災害発生もあり。近年は平均値が下がり2年連続厳しかったため、令和6年は期待?

【財務・会計】
平均値は全体的に普通あたりですが、偏差は大きめ。2年連続厳しく経済学と同じく来年は少し緩和される可能性も。

【企業経営理論】
平均合格率は低く、ばらつきも低め。コンスタントに難しい科目といえる。診断士として親しみがある科目と思わせて意外に点数が取れないという罠科目。ここ2年は良くも悪くもなので、読みづらいです。。。

【運営管理】
平均合格率も、ばらつきも低めであることから、こちらもコンスタントに難しい科目と言えそうです。今年度は3年ぶりの災害発生。。。来年は揺り戻しで簡単になってくれることを期待です。

【経営法務】
平均合格率は低く、ばらつきも低め。こちらもコンスタントに難しい科目といえます。合格率が10%を切ることも多く、毎年細かな法改正などもあるため免除してしまうのも1つの手です。だいぶ反省したのか2年連続で簡単になったので、今年は危険かもしれません・・・。

【経営情報システム】
平均合格率は高いが、ばらつきが非常に大きく当たり外れが大きい科目。去年少し簡単になったと思ったら、また厳しい感じでした。今年は簡単になって欲しいですね。
ちなみに、私が1次試験を受けた平成27年は、点取り科目とも言われていた経営情報が牙をむいた年です(6.4%)。試験中に会場からため息が漏れてました・・・。

【中小企業経営・中小企業政策】
平均値は低く、標準偏差も低くなってきた科目。2年連続厳しい戦いでしたが、今年は大きく緩和。今年は平均辺りに落ち着きそうです。

これら特徴などを踏まえた上で、「過去の科目合格率推移」から見えてくる結論としては以下と考えています。

・免除するなら「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」あたりがおすすめ! ただ「運営管理」は今年簡単なる可能性もあり。
・当たり外れの大きい「経済学・経済政策」「経営情報システム」は、不得意科目ながらも合格できたという方は免除が無難!
・昨年まで傾向から見ると「財務会計」は緩和の可能性はあり。

科目免除の判断ポイント2:自身の実力から検討

中小企業診断士1次試験科目免除の判断ポイント2:自身の実力から検討

続いて、科目免除2つ目の判断ポイントは「自身の実力から検討」する方法です。このポイントは、どちらかというと再挑戦される方向けの判断ポイントになります。

再挑戦される方は、昨年の中小企業診断士1次試験や模試の結果から自分自身の「認識ずれ」が把握できます。

認識のずれ」とは「自分の思っている実力」と「実際の得点」の乖離を指しています。
例えば、勉強をしていく中で「企業経営論と財務・会計は得意だし、平均点を引き上げてくれる科目だろう」と思っていたのに、模試や本番時に点数が取れなかったといった感じです。

この 「自分の思っている実力」と「実際の得点」 の2軸でグラフ化するとわかりやすいです。以下は過去に私自身の中小企業診断士1次試験の模試結果を分析したものです。

中小企業診断士1次試験自信度と実態の乖離確認
  • ①グループ:自分も得意、模試の点数も良かった科目
  • ②グループ:自分は得意だと思っていたのに点数が取れなかった科目
  • ③グループ:苦手で点数も低いという科目
  • ④グループ:自分は苦手と思っていたけど、点数が取れた科目

上記分析の詳細については以下の記事をご覧ください。

この中で、①グループのものは免除せずに平均点引き上げ要員になってもらいましょう。④に関しても、自分の苦手意識が払拭できていれば免除しないで挑むのが良いと思います。

逆に③に関しては科目免除可能なら回避するのが手です。

この中でもっとも危険なのが②グループです。自分では点数が取れると思っていても実際は点数が取れていません。その傾向が良く出るのが「企業経営理論」だといわれます。2択までは絞れるけど最後で間違えるといういわゆるラストワンの罠にはまる方が多いのです。

実力については、たまたま簡単な問題で得点できた可能性もあるため、判断ポイント1の科目合格の推移などともあわせてしっかり確認してください。

以上が、2つ目の 「自身の実績から検討」する方法 でした。

科目免除の判断ポイント3:最後は気持ちで検討

中小企業診断士1次試験科目免除の判断ポイント3:最後は気持ちで検討

3つ目の科目免除の判断ポイントは「気持ち」です。最後に根性論かと言われそうですが、これが非常に重要です。

特にこの「気持ち」の判断ポイントが効果を発揮する場面は「免除しないと判断した科目で失敗した時」です。事前の作戦通りに科目免除がうまくいけば問題ありません。しかし万が一失敗した時にモチベーションを失って、中小企業診断士試験自体を諦めてしまうのは非常にもったいないです。

特に「免除していれば合格できたのに」という状況は不得意科目で足きり不合格を喰らうよりも精神的に厳しいです。

科目免除をしないで受けると決めた科目は「たとえ科目合格率2%の難問がたまたま来て、足きりになっても後悔しない。また来年も悔いなく頑張れる!」ものだけにしてください。

この考え方は株式投資にも通じます。「たとえ明日暴落して半分の値段になっても、来年まで信じて値上がりを待てる銘柄でなければ買わない!」というスタンスです。

後悔した上で相場から退場=診断士試験を諦めることのないよう、免除しないと決めた科目は堂々と真正面からぶつかりましょう!

まとめ

本記事では中小企業診断士1次試験の科目免除の内容と免除するか否かの3つの判断ポイントを紹介しました。

中小企業診断士1次試験の科目免除システムは救済のようで救済ではない?難しい選択を迫る試練でもあります。

今回は「推移分析」「自身の実績」「気持ち」という3軸をご紹介しましたが、これ以外にも中小企業診断士2次試験の勉強時間との兼ね合いなど、様々な要素が絡んで来ると思います。

正解はない難しい問題ではありますが、最後は自分を信じて選択しなければなりません。少し大げさなようですが、1年に1回の勝負ですのでしっかり検討し答えを導いていただければと思います。

後悔のない選択をし、無事中小企業診断士2次試験の切符を勝ち取ってくださいね!

それでは、また!

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おまけ(学習記録)

記事のおまけとして、記事投稿日の当時の学習記録を記していきます。
受験生の道しるべになれば幸いです。

・日時  :2015年2月7日(土)  勉強開始から「62日目」
・勉強時間:4.5H
・トータル:271.0H
・勉強内容:経営情報システム1章読込+学習マップ(1章)作成

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